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総合型選抜とは?概要・仕組み・最新動向を簡単に解説
目次
総合型選抜とは
総合型選抜(旧AO入試)とは、大学側が求める学生を選抜する入試です。そのため、学生は「自分がその大学にふさわしい人物である」とアピールする必要があります。
総合型選抜では「何を学びたいのか?」「その学びをどのように活かすのか?」などが問われ、それらを志望理由書や面接、小論文、プレゼンテーションなどの多様な方法で審査されます。
大学入試方式には一般選抜、学校推薦型選抜、総合型選抜の3方式があり、総合型選抜はその中の1つです。
学校推薦型選抜(公募制・指定校制)との違い
総合型選抜と学校推薦型選抜(公募制・指定校制)との最大の違いは、出身高校からの推薦がなくても自らの意思で受験できる点です。評定などの制限はありますが、学校からの推薦を得ることに比べればハードルは低いと言えます。
入試の内容は学校推薦型選抜とほぼ変わりません。学生自身の能力や意欲を示し、大学のアドミッションポリシーに合っているとアピールできれば、合格の可能性は十分にあります。
アドミッションポリシーとは?
アドミッションポリシーとは、大学の入学者受け入れ方針のことです。それぞれの大学には建学の理念や教育ビジョンがあり、それにふさわしい学生の入学を望んでいます。
総合型選抜においてアドミッションポリシーは重要なキーワードとなります。アドミッションポリシーを理解し「大学が求める学生像」であると示すためにも、志望校を決めたら必ず最初に確認しましょう。
総合型選抜の入試時期
総合型選抜は例年、9月1日から出願が始まり、11月1日以降に合格発表が行われます。 一般選抜や学校推薦型選抜と比べて早くに試験が行われるため、準備や対策も早めに進める必要があります。
注意すべき点として、大学によってはオープンキャンパスや個別説明会への参加、特定の科目の履修や指定の検定の取得を出願要件としていることがあります。志望校の入試に関する情報は早めにチェックしましょう。
総合型選抜の選考方法
総合型選抜では、一般入試と違い、学力以外の面も大きく評価されます。「学力では一歩足りないけど、どうしてもこの大学で学びたい!」など、学生が自身の想いをアピールできるものもあります。選考方法は大学によって多様ですが、多くの大学では主に以下の方法が採用されています。
出願条件(評定)
総合型選抜の出願資格を得るためには、大学が示す評定平均の基準を超えていることが求められる場合があります。学校推薦型選抜に比べれば、基準は少し低めに設定されていることが多いので、より多くの人がチャンスを手にすることができます。募集要項の出願条件の欄に記載されているので、よくチェックしましょう。
評定は、大学が受験生を審査するときの1つの指標となります。たとえ勉強が苦手でも、真面目に高校に通い、テストのたびにちゃんと勉強するように心がけてみてください。まだ志望校が決まっていない人も、高校1・2年生のうちから評定を気にしておくと、将来の選択肢がぐんと広がるはずです。
書類選考
書類選考では、志望理由書や調査書、活動報告書など、大学から指定された書類を提出します。総合型選抜において、書類選考は第一関門です。国公立大学や私立の難関大学ではふるいにかけられる受験生も多くいます。
面接
面接には、個別面接と集団面接の2種類があります。
個別面接では、面接官2〜3人に対して受験生は1人で行われます。いくつか質問をされることもあれば、1つの質問について深掘りされることもあります。
集団面接では、面接官2〜3人に対して受験生は2〜6人ほどの複数人で行われます。他の受験生と同じ質問をされることもあれば、それぞれに別の質問がされることもあります。グループディスカッションとは違い、受験生同士のコミュニケーションはありませんが、他の受験生の回答を傾聴して話の流れや内容を把握することが必要です。
小論文
小論文とは、与えられた課題に対する自分の意見とその理由を論じる文章のことです。主に読解力や思考力、論述力が試されます。
小論文には、テーマ型、課題文型、資料型の3つの出題パターンがあります。大学や学部によって出題傾向があるので、事前に調べて対策することが大事です。
学力試験
学力試験が必要な大学もあります。「大学教育を受けるのに必要な学力を持っているか」を評価され、基礎的な学力を求められます。
多くの大学で実施されているのは『基礎学力テスト』です。各々の学部学科に関連する科目が出題範囲となっていて、基礎学力を審査されます。サンプル問題が公開されている大学もあるので、調べてみてください。
総合型選抜では『学力の3要素』に基づいて学力検査が行われています。学力の3要素とは『知識・技能』『思考力・判断力・表現力』『主体性・多様性・協働性』の3つのことで、これらを測る手段として、学力試験や小論文が使われます。
AO入試から総合型選抜へ。注目を集める背景とは?
2020年に大学入試改革が行われ、AO入試が総合型選抜に変わり、試験の内容やスケジュールも見直されました。同時に高大接続改革も行われ、高校教育と大学教育・入試をより密接に連携させる方針が取られるようになりました。
『学力の3要素』とされている 『知識・技能』『思考力・判断力・表現力』『主体性・多様性・協働性』を育成・評価することを重要視され、そのために高校教育と大学教育の連携が強化されました。
『学力の3要素』を指針とした入試方式として注目されたのが、総合型選抜と学校推薦型選抜です。総合型選抜は、AO入試の問題点であった「他の学生との学力の差」を解決するために、学力を課す試験を必須にしたものです。学力は、学力試験や小論文、英検・TOEICや共通テストで測られます。
AO入試の課題が改善されてできた総合型選抜は、今は多くの大学の入試方式に採用されています。こうして、大学入学者の半分以上が総合型選抜と学校推薦型選抜による合格者となった現在に至ります。
国公立大学の総合型選抜の特徴
国公立大学にも、総合型選抜を行っている大学は多くあります。
「得意科目が偏っていて、共通テストの点数が伸びない…」「一般選抜だけだと不安…」
そんな悩みを持つ学生におすすめしたいのが、総合型選抜です。受験は一発勝負と言われていますが、総合型選抜と一般入試で少なくとも2回は挑戦できます。心に余裕を持ち、チャンスを逃さないために、志望大学の入試方式についてよく調べておきましょう。
国立大学の約8割が総合型選抜を実施している
現在では、国立大学の約8割が総合型選抜を実施しています。また、大学の募集人員の割合で見ても、総合型選抜が占める数が増えてきています。
総合型選抜の普及に伴い、受験生の選択の幅が広がっています。国立大学を志望している受験生も、このチャンスを活かして合格を目指しましょう。
一定の学力を問われる
総合型選抜でも、大学教育を受けるのに必要な一定の学力は求められます。審査の方法や基準は大学によって異なり、共通テストや学力試験、口頭試問、資格・検定試験の成績、小論文などで学力を測ります。自分に合った選考方法を採用している大学を受験すると良いでしょう。
また、私立大学に比べて一定の評定を出願条件としている大学が多く、必要な評定は大学や学部によって異なりますが、基本的には私立大学より高い傾向があります。難関大学では4.0〜4.3程度の高い評定が求められます。
私立大学の総合型選抜の特徴
私立大学は総合型選抜を行っているところが非常に多いです。総合型選抜の志願者は年々増加しており、逆に、一般入試の志願者は減少しています。今、総合型選抜や学校推薦型選抜は、私立大学の入試の主流になっています。
選抜方法が多様
志望理由書や活動報告書の提出、面接や小論文、学力試験などが主な選考方法です。大学によっては、プレゼンテーションやグループディスカッション、実技試験を実施していることもあります。どんな選考なら自分の力を発揮できるか考え、もし自信が無いなら、早めの対策を始めましょう。
また、それぞれの選抜方法に合わせた対策も必要になります。志望理由書や活動報告書、小論文なら、知識のある人に添削してもらうのが一番です。プレゼンテーションやグループディスカッション、実技試験や面接は、実践で身につけます。小手先の対策では不安が残ると思うので、総合型選抜の専門塾に頼るのがおすすめです。
大学・学部への適性や学ぶ意欲が重視される傾向
総合型選抜では「大学にふさわしい学生かどうか」を審査するため、学力よりも大学・学部への適性や学ぶ意欲が重視される傾向があります。
「貴学の〇〇というアドミッションポリシーに共感し、オープンキャンパスでは〜」
「貴学の〇〇教授が研究している〇〇について興味があり、学びたいと考えた」
など、その大学や学部ならではの特性を取り入れて具体的に説明できると良いです。アドミッションポリシーやカリキュラムをよく読み、自身の熱意をアピールしましょう。
総合型選抜のメリット
総合型選抜のメリットとは?
「一般選抜だと倍率が高すぎて合格する自信がない…」
「校内選考で落ちちゃって、推薦もらえなかった…」
「一般入試まで勉強するよりも、やりたいことがある」
そんな悩みや不安を抱いている人も、総合型選抜なら合格のチャンスがあるかもしれません。
競争倍率が低い
総合型選抜は一般入試より倍率が低いことが多く、合格の可能性が高まります。一般入試の場合、複数の大学を受験する学生が多いため、自然と倍率が上がります。しかし、総合型選抜は併願が難しい入試方式のため、本当にその大学を志望している学生が合格しやすくなっています。
大学や学部によって違いはありますが、総合型選抜は一般入試よりもチャンスを掴みやすい入試方式だと言えるでしょう。とはいえ、油断しないで、対策を怠らずに合格を目指しましょう。
学力で合否が決まらない大学が多い
総合型選抜なら、学力以外のことをアピールして合格できます。もちろん評定や学力試験が求められる大学もありますが、それ以上に「大学が求める学生像」が重視されます。
高校時代に勉強以上に頑張っていたことがあるなら、総合型選抜でアピールできるチャンスです。「部活動で全国大会に行った」「ボランティア活動をしていた」「実行委員をしていた」など、そこで得た経験に関するエピソードや今後へ活かす意欲を示しましょう。
参考:高校生必見!課外活動とは?部活は含まれる?活動例や受験における重要性を解説
高校からの推薦がなくても受験可能
高校からの推薦が必要ないのは、総合型選抜と学校推薦型選抜の大きな違いであり、総合型選抜の強みです。学校推薦型選抜の場合、人気がある大学の推薦は競争率が高いため、高校の校内選考で落ちてしまったら受験できません。また、そもそも出身高校が志望大学の推薦枠を持っているとは限りません。
総合型選抜なら、校内選考で落ちてしまっても、出身高校が推薦枠を持っていなくても、大学が総合型選抜を実施していれば受験できます。
一般試験より合格が早く決まる
総合型選抜は、出願から合格発表までが9〜11月の期間で行われます。一般入試や学校推薦型入試よりも合格が早く決まるため、合格後から高校卒業までの期間を自由に使えます。高校生活の最後の期間を有意義に過ごしたり、大学での学びに向けた学習に時間を使うこともできます。
将来の目標が決まっている人に向いている
総合型選抜の面接や小論文では、自分の個性を活かしたアピールが有効です。特に、将来の夢や目標が明確に決まっていれば、大きな強みになります。
大学は受験する場所じゃなく、将来のための学びを得る場所です。大学で何を学び、何をしたいのかを伝えることができる人は、総合型選抜に向いています。
総合型選抜のデメリット
総合型選抜のデメリットとはなんでしょうか。意外と知らないという方が多いですが、知っておかないと、後から後悔するかもしれません。そうならないよう、より総合型選抜について詳しく知り、入試に備えましょう。
他大学と併願できないことが多い
総合型選抜を受験するなら、ほとんどの場合は併願できません。また、合格したあとに入学を辞退することも難しいです。ただし、大学によっては他学部・他大学との併願が可能となっているところもあります。
注意すべきは、併願不可能な入試方式があるという点です。どの大学でも共通して、指定校推薦と総合型選抜の併願はできません。そもそも指定校推薦は高校と大学の信頼関係で成り立っているので、校内選考で選ばれた時点で進路はほぼ決定します。また、公募推薦と総合型選抜の併願は、大学によってできるところもあります。一般選抜は、時期が総合型選抜と被らないため併願できますが、先に総合型選抜で合格していた場合に辞退できるかどうかは大学によります。
総合型選抜は、一般入試と違い、多数の大学と併願することに向いていません。併願したいと考えている人は、志望大学の募集要項と日程が被っていないかをよく確認しましょう。
早くから専門的な対策が必要
総合型選抜を受験すると決めたら、早くから専門的な対策を始めましょう。面接や小論文の対策は実践による練習を繰り返すことで少しずつ力が身につき、志望理由書などの書類作成には総合型選抜の知識がある人の協力が必要です。
総合型選抜の対策は時間と手間をかけなければいけないため、一般選抜に向けて専念したい学生からは敬遠され、結果として倍率が低くなります。また、高校では一般入試に向けた勉強がメインなので、志望理由書や小論文の書き方は、授業ではあまり教えてくれません。逆に言えば、自分で総合型選抜の対策ができれば、ライバルたちに大きく差をつけることができます。
しかし、学校でも教えてもらえない総合型選抜の対策を自分でやるのは簡単なことではありません。そこで、総合型選抜のプロに頼ってみてはいかがでしょうか。総合型選抜の対策に特化した専門塾の中でも、はたらく部の総合型選抜アカデミーでは、課外活動の場の提供から始めて、オンライン完結で書類選考対策、面接対策、小論文対策とトータルでサポートすることができます。
合否の基準があいまい
総合型選抜は、一般入試に比べて合否の基準があいまいです。過去問も少なく、面接は当日の環境に左右されやすく、そもそも正解や不正解があるものではないため、合否通知がくるまで不安になってしまうと思います。
少しでも不安を解消する手段は、本番まで念入りに対策をして自信をつけることだけです。また、客観的な評価は自信に繋がりやすいため、総合型選抜のプロや経験者のサポートを受けることも効果的です。
総合型選抜の専門塾では、専門的な指導を受けたり、経験者の先輩から直接アドバイスをもらえることもあります。はたらく部の総合型選抜アカデミーでは、総合型選抜の合格者を多数輩出している講師や、総合型選抜で合格した現役大学生が全力で受験生をサポートします。受験までの時間を有意義に使い、受験後は心に余裕を持って合否通知を待ちましょう。
総合型選抜の最新動向
総合型選抜の導入は、各大学で年々進んでいます。2021年度には一般選抜の入学者が5割を切り、徐々に減少しています。対して、総合型選抜の割合は大きくなり、学校推薦型選抜と合わせて半数ほどを占めました。
以下は2023年度のグラフです。
グラフからわかるように、総合型選抜の導入率は非常に高いです。これにより、総合型選抜の入学者も増加していることが予測できます。このような変化は、今後もしばらく続いていくでしょう。なぜなら、総合型選抜は大学が求める学生の選抜に適しており、今の時代に合っている入試方式なのです。
以下は、上記のグラフと同じく2023年度に総合型選抜を導入していた大学の導入の目的について調査したグラフです。
出典:大学入学者選抜における総合型選抜の導入効果に関する調査研究
総合型選抜を導入した目的として「アドミッション・ポリシーに適った入学者をより丁寧に選抜するため」「学力の評価だけではなく、受験者を多面的 総合的に評価する選抜を実施するため」などの意見が多くあったことが読み取れます。このことから、大学側には求める学生像があり、それを基準に学生を選抜しているのだとわかります。
総合型選抜のような選抜方法は一般選抜ではできないため、今後の総合型選抜のさらなる普及が予想されます。大学側の変化に合わせて、学生も対応が求められています。
総合型選抜の対策ならはたらく部
この記事では、総合型選抜とはどんな入試なのか解説しました。ここまでの内容を読んで、 「総合型選抜に興味はあるけど、色々対策が必要だから大変そう…」 と感じた方もいるかもしれません。そんな学生のみなさんに、総合型選抜に特化したおすすめのサービスをご紹介します。
はたらく部の総合型選抜アカデミー
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岡田唯月
「作ること」が好きで、高校時代には演劇部でパンフレットやポスターの制作に携わった。内向的な性格がコンプレックスだったが、はたらく部と出会い積極的に他人と関わることができるように。現在ははたらく部インターンにて広報の仕事の経験を積みながら、大学でも編集デザインについて学んでいる。SNSでの広報活動を通して、学生の興味を後押しする情報を伝えることを目指している。